小児科医のお勉強ブログ

若手小児科医が勉強した記録です。

【論文】先天性心疾患の小児の神経発達予後

The JOURNAL of PEDIATRICSより最新の論文です。

 

残念ながらFree Accessではありませんでした。

 

Long-term Neurodevelopmental Outcomes of Children with Congenital Heart Defects

 

https://www.jpeds.com/article/S0022-3476(21)00580-1/fulltext

 

目的

生下時から症候性の先天性心疾患(チアノーゼ and/or 心不全)をもつ小児が8歳の時点で神経発達予後に遅れがあるか評価すること。

 

デザイン

先天性心疾患の人口ベースのコホート研究(EPICARD)より、8歳の時点で神経発達評価が可能な473人を抽出した。生下時の症状と新生児早期の治療の有無でグループ分けした。1歳までに自然閉鎖したVSDをコントロール群とした。神経発達はK-ABC for IQ(平均100±15)と特定の神経認知機能を評価するthe NEPSY-II(平均10±3)を用いて評価した。潜在的な交絡変数を考慮し、多変量回帰分析を用いて、CHDグループ間の転帰を比較した。

 

結果

コントロール群と比較して心不全のないチアノーゼ性心疾患の小児はIQが7.2低かった[95%CI: -13.4; -1.2]。心不全のある非チアノーゼ性心疾患の小児は言語機能が1.5ポイント低く[95%CI: -2.2; -0.7]、記憶・学習機能が-1.3ポイント低かった[95%CI: -2.4; -0.3]。心不全のあるチアノーゼ性心疾患の小児はIQが7.6低く[95%CI: -13.5; - 1.8]、言語機能が2.0ポイント[95%CI: -2.9; -1.0]、記憶・学習機能が1.1ポイント[95%CI: -2.3; -0.1]ずつ低かった。

 

結論

生下時から症候性の先天性心疾患をもつ小児は、8歳時点での神経発達予後不良のリスクが高い。(特にチアノーゼと心不全が両方ある場合)